飲食店の経営学 参入障壁を考えてみよう

オムニバは 今まで レンタルスペースとして主に営業してきましたが、定期的に営業されるカフェレストランとしてもご利用いただけます。シェアカフェの形態をとることによって、開業へのハードルを下げることができるはずだ!という思いがあり、そこからシェアカフェという営業形態を考えて提案してまいりました。これまで約9ヶ月間の間に、何人かの方がトライアルで営業をされたり、また定期利用をされたりということで カフェ営業をされてこられました。最初に大きな資金を必要とすることなく、トライアルでカフェ営業ができる場を作れたことは、ご利用いただく方にとっても私たちにとっても非常に意義があることだと思っています。

参入障壁という言葉を皆さん聞いたことがあるでしょうか?参入障壁とは新たにその業界やビジネスに参入するための ハードル、壁のことを指します。今日はこの参入障壁について少し考えたいと思います。

 参入障壁とは、新たに事業を試みる企業にとって(ここでいう企業とは、大企業だけでなく中小企業や個人も含みます)、事業開始のためのハードルのことを言います。

 一般的な参入障壁の考え方から、カフェや飲食店の参入障壁を考えるとこのようになります。

1 既存プレーヤーの優位性
既に事業を行っている企業あって、その企業が優位性を持っている場合は、新規参入が難しくなります。

では、その優位性ってなんでしょう?
下記のようなものが、既存プレーヤーの優位性になります。

規模の経済性
技術力
経験・ノウハウ
ブランド
スイッチング・コストの高さ
サプライチェーン、販売・流通網
資金力

規模の経済
規模の経済は、大規模生産すれば製品1個当たりのコストが下がるといったものです。
自動車や電力など大規模な工場や発電所で生産すれば生産コストが下がり、その分利益が増えます。こうした優位性があれば、新規参入事業者が出現した場合、価格を一時的に下げて、顧客を囲い混むこともできます。
飲食店の場合とチェーン店が採用しているセントラルキッチンシステムに対抗することは難しそうです。全国で消費される分を作って、各店舗へ配送するシステムにコストで勝負するのは難しいでしょう。飲食店を開業される方が、いきなり全国チェーンに規模で対抗する店舗を目指さない、目指せないのはここにあります。

技術力
技術力は、そのままですね。新規参入事業者が既存プレーヤーと同じ技術を持っているか?ということです。
これは、製造業では既存プレーヤーの技術力の力は大きいです。
しかし料理の世界では、その差は製造業に比べ小さいでしょう。むしろ、料理の世界で厳しい修行を積み、研究したシェフのほうが高い技術を持っていることもあるでしょう。オーナーシェフの店が開店し、存続できるのはそのためです。

経験・ノウハウ
経験、ノウハウは、どの業界にもありますね。飲食店における店舗経営の経験、ノウハウは、そこで働くことで得られることもあり、その経験を持って新規参入することは可能です。飲食店を開業される方は、まず飲食店で従業員として働き、経験を積み、ノウハウを得た上で開業されることをお薦めします。

ブランド、ロイヤリティ
ブランドは、その企業がもつ社名、ブランド、商品名が持つパワーそのものです。大手のチェーンを展開する企業がもつブランドパワーは強大なものです。医薬品のようにどのような作用、副作用があるかリスクをとりたくない場合や食品、化粧品のように普段の習慣になっていて心理的に変更してもらうのことの難しさもブランドの力ととらえられます。
また、地域で長年経営されてきた、いわゆる「地元の名店」がもつ安心感も新規参入組には無いものです。このブランドパワー、信頼、安心は既存プレーヤーには大きな武器である一方、新規参入者には無いものですが、新規参入者でも長年、誠実に飲食店経営を続けていれば、やがてパワーをもつことができます。

スイッチング・コストの高さ
スイッチング・コストの高さというのは、顧客が今まで使っていた商品を変更するときの費用の高さを言います。例えば、プリンターのインクカートリッジの価格が高いと言っても、それを変更しようとするとプリンター本体を買い換える必要があります。
このように使用する商品やサービスを変更するために必要になるコストは新規参入者のチャンスを阻害します。飲食店の場合は、スイッチング・コストが高い事例は少なく、それゆえに競争は常に起こっています。

資金力
資金力も参入障壁となることがあります。参入にあたり、大規模な投資が必要で、かつその資金を集めることが難しい場合、つまり多額の資金が必要なら自己資金で事業を始めるのが難しく、銀行や投資家から資金提供してもらうのが難しい場合、その事が参入障壁となります。
飲食店の場合は、資金は製造業に比べると小さいかもしれませんが、ITベンチャーや職人さんが一人で独立する場合に比べると多額の資金が要ります。
オムニバは開業資金を少しでも下げて、飲食業への新規参入できるチャンスを増やすことで社会経済が活性化すれば良いとも考えています。

いかがでしょうか?独立して自分でビジネスを起こすことを考えた場合、飲食業は他の業界に比べ参入障壁は低い業界と言えます。しかし、それでもなお自分の店を持つことはなかなか難しいことでもあります。

 オムニバはそんなカフェ、レストラン、バーの開業をもっとしやすくなるように様々なサービス、店舗を提供できるよう頑張ってまいります。